絵本「リンリンだゾウ!」エピソード1
2011年01月28日
絵本「リンリンだゾウ!」エピソード1
「スリランカと畑 佳孝さん」
4月に発売が決定した絵本。僕自身もかなり力を入れています。
これから発売までキャンペーンという訳ではありませんが、絵本が
出きるまでのエピソードなどを書いていきたいと思います。
今回はちょっと番外編かも知れません。
まず、きっかけは2010年3月、文書を書くアリヤ美穂さんからの
メールです。スリランカの事業に携わり、歌手でもあり、そして、
ゾウの絵本を出したいとのことで僕に連絡が来ました。
アリヤさん、そして協力者で、スリランカ人のチャンナさん。
とても熱心で情熱が伝わったのですが、僕の心を動かしたものは
東京にお住まいのお二人が、僕が興味があると返答したらすぐに
大阪に来てくれたことです。正直、これだけで僕の気持ちは固まり
ました。
と、もう一つはスリランカです。スリランカは行った事もないし、
情勢などぼんやりと知る程度ですが、もう何年も前に僕の脳裏に
焼き付いた出来事がありました。
2007年秋に某サイトで書いた日記を抜粋します。当時PEACE SUMMER
というアートイベントを主催していました。
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PEACE SUMMER2007期間中はとても忙しくしていましたが、
個人的にも色んなことがありました。
期間中、バタバタしており、家に帰ると可愛いキャラクターの
Tシャツが(写真)一枚届いていました。
メッセージを読み、愕然としました。。
友人であるクリエイター畑 佳孝さんのお父さんからの
メッセージで彼は今年の3月に脊髄腫瘍で永眠されました。
享年30歳。
なんともやるせない気持ちが襲ってきました。
畑 佳孝さんとの出会いは3年前。僕のサイトの掲示板に
書き込んでくれたことから始まりました。彼は偶然僕の大学の後輩
でイラストレーター・絵本作家を目指していて、絵本イベント
にも参加してるとのことでした。
僕は感覚的に感じるものがあったのか、とんとん拍子に彼の
参加する絵本イベントを観に奈良まで行きました。
初対面の彼は車椅子でした。そしてとてもシャイな好青年。
彼と一通りしゃべったあと、突然、モジモジし始め、僕は
「??」となっていると見かねたイベントの代表が僕の元に来
て話しだしました。その代表は大手絵本系出版社と組んで、
スリランカで絵本作家を育てる活動をしていました。
なんと、次の週にそのスタッフとしてスリランカに一緒に来て
もらえないかという話・・・僕はひっくり返りました(笑)
なんせ佳孝さんとも初対面で来週にスリランカって・・・
普通ならば、あまりにも急なので丁重に断るところ
だけど、僕は「帰って考えさせて下さい」と答えました。
それはお愛想ではなく、佳孝さんが僕を誘う決断した理由を
聞いたからもっと真剣に考えたかったのです。
内容は単純です。掲示板で知りあって、僕が絵本イベントに
行きますといって、本当に来てくれた。だから徳さんは
信用できる人だと代表に伝えた。。。それだけです。
そんな純粋な気持ちに、僕は嬉しくなって彼が好きに
なりました。
結果は残念ながらどうしても都合がつけることができずに見送りましたが、
それ以来、イベントに来てくれたり、メールや挨拶状のやりとりがありま
した。イラストレーターに なるためのアドバイスもしました。
でも、僕は彼の車椅子の原因が「死」につながる病気とは
知りませんでした。。。気付きませんでした。。。
PEACE SUMMERの喧騒の中、彼の死を知り、会場を歩きながら
表現できることの幸せを感じました。念願かなってプロになった
人もいれば入り口で力尽きた佳孝さんのような人も居ます。。
彼の詩に「あくしゅをありがとう」という言葉があります。
僕は彼と握手したのだろうか?・・・思い出せません。
それを想うと、全国からクリエイターが集まった大交流会に
身を置いた時、この瞬間を大事にしたい!という気持ちに
かられて、みんなと握手したくなって気がつくと出口に
立っていました。
畑 佳孝さんに出会いの大切さを教えてもらいました。
よかったら、そんなクリエイターがいたという事を覚えて
いて欲しいです。また、表現できる幸せを噛みしめて欲しい
です。
彼の書いた詩を綴ります。
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「いつまでも」
畑 佳孝
あくしゅをありがとう
勇気と元気と優しい気持ちを
ありがとう
家族の手
葉っぱの手
みんなの手
心の手
あくしゅをありがとう
安心をありがとう
僕はいきるよ
大好きなみんなが住む
地球と一緒になる
その日まで
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彼は僕の心にずっと生き続けます。
ご冥福をお祈りします。
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以上です。
今回、畑さんのことが蘇りました。そして、僕があの時
すぐに彼に会いに行ったように、僕に会いに来てくれたアリヤさん、
チャンナさん、来るという事実だけで畑さんと同じ「信じよう」
という気持ちでお会いしました。ずっと仕事場に飾ってある畑さんの
年賀状を胸のポケットに忍ばせて・・・僕の中では遠い記憶になりつつあった
スリランカがここで繋がった。結果、1年近くのお付き合いで間違いは
なかったです。
彼のおかげです。。。。
ありがとうの気持ちを込めて、出来た絵本はまず彼に送りたいです。
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