【童画の描き方】らいおんサン

2007年06月11日

さてさて、このblogに新しいカテゴリー【童画の描き方】を増やしました!
このカテゴリーは僕の童画作品が出来るまでの工程をお伝えします。。
と、言っても実際ほとんどの童画は同じ工程をたどるので、掲載は今回
のみかも知れません(笑)
それでは記念すべき第一作目は・・・・やっぱり「らいおんサン」です。
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「らいおんサンプロジェクト」
僕の代表作である「らいおんサン」はお店の「看板らいおん」になったり
「給水タンク」になったり・・・様々な媒体で活躍しています。
大きさもハガキ大からF15号などなど様々。
今回は「らいおんサンプロジェクト」としてF80号
(1455×1121mm)のキャンバスに描きました!!
それでは、スタート!!


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1.まずは作者と記念撮影・・・大きい(作者も?)80号と言うのは学生時代以来
です(最高は200号)キャンバスは木枠に貼ってあるので、ちょっとした太鼓みた
いで、指で弾くと「ボヨヨ〜ン」って音がします(笑)この跳ね返りが塗っていても
楽しいのです〜
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2.ついでにもう一つ比較・・・下にちっちゃくあるのが額装済みの「らいおんサン」
ハガキ大原画です。。。ひゃ〜
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3.今回はあまりにも大きいのである程度の中心を計り、鉛筆でアタリをつけます。
僕の下描きはこの程度です(笑)普段はしません。
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4.さて、お次は僕の童画の特徴でもある下地づくりです。原画を観た方なら
わかりますが、実際はかなりデコボコしています。専用のテクスチャ
ジェルをペインティングナイフで塗りたくります。学生時代は貝殻を砕いた
ものなどを使ったり、タマゴの殻をすり鉢ですって使用したりしてました。
このジェルですが、メディウムの中に粒状の素材が混ぜてあります。いつもは
細かい粒のものを選ぶのですが、今回はものが大きいだけに粗めの粒を選ん
でます。
とにかく、「らいおんサン」の出来上がりを想定してナイフで全面に塗ります。
かなり体力がいります(笑)この作品は外へ広がっていくのでアタリの顔の
丸を中心に放射線状にどんどんどんどん広げていきます。
ちなみにこのジェルは白色で乾くと透明になります。雰囲気的には木工用
ボンドみたいなものかな?
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5.全面にテクスチャジェルを塗ったあと乾燥を待ちます。乾燥待ちだけで
大きいだけに1日を費やします(普段は数時間)その後、ジェッソ(地塗り剤)
をこれまた全面に塗ります。
このジェッソ、白色不透明なので、これを塗ると下描きは見事に消えます(笑)
なぜ塗るのかというと、粘度があるので粗い下地をなじませる意味と、発色を
良くする働きがあります。この写真は塗った後ですが、4の写真との違いが
わかるかな?
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6.今回は訳あって、しばらく額装はしないので側面もジェルを塗って、釘を隠して
います(普段は側面に釘を打ってキャンバスを止めているので頭がむき出しに
なっています)
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7.ジェッソを全面に塗り、乾燥後(また1日かかった・・・)全体に水で溶いた
イエローオーカーを薄〜く塗ります。色々と工程あるでしょ〜(笑)この役目は
ジェッソを塗ってもデコボコしているのでそのまま童画を描くと白い隙間が
たくさん出来ます。それを解消するためと、本番に使うアクリル絵の具は
半透明なのでうっすらと下地が見えます。そのためにオーカーを塗っておくと
画面全体が馴染んだ雰囲気になります。作品によっては真っ黒に塗りつぶす
ことも。。そして乾燥(1日)
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8.さて、ここでようやく描きはじめます(笑)もちろん?下描きなしでいきなり
描きはじめます。これはだいたいのアタリです。色はブラックとバーントアン
バーの掛け合わせ。ここからは基本的にナイフで色を重ねて要所要所で
筆を使います。
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9.アタリをつけた後、いよいよ本塗り。この「らいおんサン」は決まった工程
があります。基本的には後ろから前へ進行します。まずはバックの黄色。
どんどんナイフでガリガリと・・・・絵の具を重ねて塗っていくのですが、デコ
ボコしているので引っかいているような音がします。結構うるさい。。。
でも、これが気持ちいいんです・・・(笑)
絵の具はアクリル。このような工程でマチエル(絵肌)を表現するので、
僕の童画を見て「油絵」と思われる方も多いです。自身が洋画出身の
為、油絵の時に使っていた技法を取り入れています。
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10.ひとくちに黄色といっても色んな色を重ねています。赤を混ぜたり、
白を混ぜたり・・・乾く前に画面上でまぜたり、乾いてからこすらすように
重ねたりと・・・
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11.黄色の入った全体図。これでバックの出来は20%くらい。。。まだまだ
塗りたくります。絵の具がボトルでどんどん消えていきます。腕が疲れます(笑)
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12.黄色の次は地面。状況によってはキャンバスを回転させて描きます。
この緑の色合いも絵の具をかなり重ねています。
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13.バック→地面→らいおんサンの体に入ったところ。バックですが、11
からの進み具合がわかると思います。
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14.さらに体を描き込みました。微妙ですけど確認できますか?
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15.体のアップ。かなり描き込んでいます。
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16.いよいよ赤投入!!簡単なようでバランスがすごく難しい。それと
大事なのは「勢い」画像は逆さにしてバランスを見ています。
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17.顔。体と同じ容量で塗りたくり。全体像が見えてきた!!この辺で
室内だったこともあり、外に出して自然光の下、再確認、微調整。
少し陰影をつける。
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18.ついに顔に目・鼻・口が・・・ほっぺもうっすら赤くなり・・・・・
この黒目の大きさがどうにも難しかったです。やっぱり小さくなってしまう
ので、大胆に描いてもまだ小さい。バランスがなかなかうまくまとまりませ
んでした。
そしていよいよ目の白い輝きに入ります。これは僕の童画の大きな特徴。
ダルマに目を入れるが如く、真剣です。らいおんサンに命を吹込みます。
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19.じゃ〜ん!ついに完成!!おめめキラキラ〜どっしりと力強く輝く
「らいおんサン」!!!
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生まれたばかりのらいおんサンと記念撮影!!作者ご満悦。
「誕生おめでとう!!」
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【後記】
普段、童画を描く時には腕の付け根→ヒジ→手首→指先の順に
腕を使って絵を描きます(あまり絵を描かない人は手首から先を
使って描く事が多く、それゆえに全体のバランスを大きく捕らえ
にくくなります)
ですが、今回はこの順序の一番先に「体」が入り、全身を使って
描きました。もちろん疲れたけれどとても気持ち良かったです。
やっぱり大きくものを捕らえることは大事だな〜と改めて感じました。
おかげで、運動不足もあり、手が上がらなくなっていることも
気付きました(苦笑)
今回は作品の技術的なことを中心に解説いたしましたが、技術は
ある程度の鍛練で習得できるものです。
その上に大事なものは「何を描きたいか」「伝えたいか」というような
「本質的なもの」で個性は出てくるのではないかと思います。
この「らいおんサン」がまたたくさんの人の心を癒してくれたら僕も
嬉しいです。もうすぐ観ることが出来ますのでまた、後日発表します。
★アトリエ提供/なの*ぎゃらりー

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